■マコの傷跡■

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chapter 1



~ chapter 1 “お医者さんごっこ” ~




最初は、遊んでもらっているんだと思っていた。
私が幼稚園の頃、兄は小学校の高学年になっていたはずだ。
その頃は兄との間で時々行われる“お医者さんごっこ”を
私は意外に嫌いではなかった。

いつからだっただろう「コレってなんだかおかしいな?」と思うようになったのは・・・。
「嫌だ」と、多分 兄にも直接言っただろうと思う。
遊びだと思えなくなってきた私が拒否すると、兄は夜中に度々ベッドに入ってきた。
ふと目が覚めると足元に誰かが居る、それはものすごい恐怖だった。

小学校低学年になった頃、我慢が出来なくて、やめて欲しくて、親に言った。
「お兄ちゃんが夜、ベッドに入ってくる」
多分、そんな曖昧な言い方しか出来なかったように思う。
両親は兄を呼び1度叱った。私は仕返しが怖かった。

1度叱っただけでは何も変わらなかった。
両親の目の届くところでは行われるはずもない。

幼い頃にはよくある事らしい。
男性が最初に女性に興味を持つ頃に。
たまたま、そこに妹が居た。それだけの事だった。私以外にとっては。
そこで終われば、私もいつしか忘れて行っただろう。
そんな事は1度もなかったかのように忘れ去った、両親と同じように。


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